ダブルワークしている場合の雇用保険(失業保険)について説明します。
ここでは4つの例を元に説明していきます。
- A社とB社でダブルワークしています。雇用保険に加入していたA社を退職することになりました。失業保険を受けながらB社で働いていても問題ないのでしょうか。
- C社とD社でダブルワークしています。どちらも雇用保険の加入条件を満たすのですが、どちらに加入した方がよいでしょうか。
- E社とF社でダブルワークしています。E社に雇用保険加入していたのですが、F社の方が勤務時間が長いため雇用保険を移すことは可能でしょうか。またその場合E社で加入していた期間はF社になっても引き継げるのでしょうか。
- G社とH社でダブルワークしてます。G社とH社で合わせると週20時間以上の勤務になります。2社を合わせることで雇用保険に入れるのでしょうか。
まず雇用保険の加入要件は以下の通りです。
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者
(2)1週間の所定労働時間が20時間以上であること
アルバイトでもパートでも上記要件を満たすことで雇用保険に加入することができます。
雇用保険はいざというときの大切な保険です。
(ケース1)失業保険受給中のアルバイト
Q1.A社とB社でダブルワークしています。雇用保険に加入していたA社を退職することになりました。失業保険を受けながらB社で働いていても問題ないのでしょうか。
A.申請すれば特に問題ありません。
失業保険を受けるには、退職時、過去2年間の間に12ヶ月以上(月11日以上勤務)の雇用保険加入実績が必要です。会社都合の退職の場合は、過去1年間の間に6ヶ月以上必要です。
注意しなければならないのは、失業保険の手続き後に7日間の待機期間というものがあります。
本当に働いていないかを確認する期間です。この7日間の待機期間の間は働いてはいけません。
働いてしまえば、また最初から7日間の待機期間を繰り返さなければなりません。
もう一つの仕事をするにしても、待機期間は働かないようにしましょう。
給付制限期間中は働けるのか
働いた場合は失業認定申告書に記入しなければなりません。
・4時間以上働いた場合は○
・4時間未満の場合は×
失業保険を受け取る場合、退職理由によって2ヶ月間の給付制限がつく場合があります。
※令和2年の法改正より給付制限が3ヶ月から2ヶ月に短縮されました。
自己都合で退職した場合には2ヶ月の給付制限があるため、失業保険を受け取るには手続き後2ヶ月間待たなければなりません。会社都合や自己都合でもやむを得ない理由での退職は、7日間の待機期間のみです。
自己都合・・・手続き後7日間の待機期間+2ヶ月の給付制限
それ以外・・・手続き後7日間の待機期間のみ
この2ヶ月の給付制限期間であれば、いくら働いても構いません。
・2ヶ月だけ仕事をする(フルタイムでもパートでも可)
・雇用保険に加入しても問題ない(ただしハローワークへの報告と給付制限が終わる前に退職する必要あり)
・そのまま就職する(失業保険ではなく再就職手当の支給対象になる)
2ヶ月の給付制限がなく7日間の待機後にすぐ支給が始まる場合は注意です。
・1日4時間以上働いたらその日の支給はでない(無くなるわけではなく後ろにずれる)
・4時間未満でも得た給与の額によっては失業保険が減らされる。
詳しくは 失業給付期間はアルバイトできるの? をご覧ください。
(ケース2)どちらも雇用保険の加入条件を満たす場合
C社とD社でダブルワークしています。どちらも雇用保険の加入条件を満たすのですが、どちらに加入した方がよいでしょうか。
A.給与が多い方に加入しましょう。
今の状況であれば両方の会社が同時に雇用保険の手続きを行うことになります。
雇用保険の加入は1人一つが原則です。そのため被保険者番号も1つです。そのため「2箇所で雇用保険に加入する」という概念がありません。
2つとも雇用保険の加入条件を満たす場合は、週40時間以上の勤務になります。
労働基準法では1日8時間、1週間は40時間を超えて労働させてはならないと書かれています。
そのため週40時間以上の勤務は割増賃金の支払いが発生することになるため、会社に知らせなければなりません。
いずれにしても1社選択するしかありません。その場合は後の失業保険等も考慮して給与の多い方に加入しましょう。
もう一つの会社には雇用保険に加入していることを伝えましょう。伝えなければ2重で加入することになってしまいます。
(ケース3)雇用保険を別会社に移すことは可能か
3.E社とF社でダブルワークしています。E社に雇用保険加入していたのですが、F社の方が勤務時間が長いため雇用保険を移すことは可能でしょうか。またその場合E社で加入していた期間はF社になっても引き継げるのでしょうか。
A.移すことは可能です。期間も引き継げます。
2つ同時には入れませんので、まずE社の雇用保険を喪失し、次にF社の方で加入手続きを行います。
E社で雇用保険に加入していた加入期間も合算することができます。
ただしE社で雇用保険を失ってから、F社で加入手続きを行なうまでの期間は1年です。
1年以内であれば合算できますが、1年を超えてしまうと合算できなくなります。
合算できなければリセットされ、ゼロからのスタートになります。
(ケース4)2つの会社で週20時間以上働く場合
4.G社とH社でダブルワークしてます。G社とH社で合わせると週20時間以上の勤務になります。合わせることで雇用保険に入れるのでしょうか。
A.合算はできません。
ダブルワークしていれば、当然合算して20時間を超えることもあるかもしれません。
しかし2つを合算することはできません。あくまで1社での加入要件になります。