離職票が送られてこなくても、失業保険の手続きは可能です。
離職票は失業保険の手続きをする時に必要なもの。
通常会社は、離職日の翌日から10日以内に退職の手続きを行います。具体的にはハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届の届け出を行います。
その後、書類一式(離職票含む)を本人へ郵送します。
会社は、離職日翌日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届の届け出を行わなければなりません。
届け出後に離職票が郵送されてきます。
しかし退職して1ヶ月が過ぎても離職票が送られてこない!というケースは珍しくありません。
特に中小企業や零細企業の場合そのような場合が多いです。
たとえ離職票がなくても手元になくても失業保険の手続きを行うのは可能です。
早めに手続を行わないと、失業保険の受け取りがそれだけ遅くなります。
離職票とは
離職票とは雇用保険取得年月日、離職年月日、退職理由、過去6ヶ月の給料などが書かれたものです。
この離職票の情報を元に失業保険の基本手当額や給付日数が決定します。
離職票は、離職票-1と離職票-2とで2枚に分かれています。
離職票-1
離職票-2
離職票-2の左側には過去1年間の出勤状況や支払った給与額、右側には退職理由(4D(この場合自己都合退職)などに○)がつけられています。
失業保険を受け取る場合は離職票が必ず必要ですが、ハローワークでの最初の申請手続きにはなくても手続きのみは可能です。これを仮手続といいます。
仮手続を行なうことが出来るのが、退職した翌日から12日目以降です。
例えば、3月31日付けで退職した場合は、4月12日以降であれば失業保険の仮手続を行なうことができます。
失業保険、仮手続のやり方
仮手続を行なうメリットは、失業保険を早めに受け取れることです。特に受け取る金額や期間は変わりません。
以下の図のように、まずは先に仮手続を行なってから離職票の到着を待つというやり方もできます。手続きしないとその分支給を受けるのが遅れるからです。
図のように、仮手続を早めに行なっていればそれ程支給が遅れることはありません。
ただし認定日までには離職票を持参(もしくは郵送)する必要があります。
※4月12日に仮手続を行えば、最悪5月9日までに離職票が揃えば良いのです。
※2ヶ月3ヶ月の給付制限がある場合は、支給開始日よりさらに2ヶ月待たなければなりません。
2020年(令和2年)10月1日より、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が3ヶ月から2ヶ月へと短縮されました。
仮手続の際に必要なもの
離職票以外の必要なものを住所管轄のハローワークに持参します。
・証明写真3cm×2.5cm 2枚
・通帳またはキャッシュカード(ネットバンク以外)
・個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
※仮手続前に、ハローワークへの求職登録が必要です。
仮手続の際に、「受給資格者のしおり」と「失業認定申告書」を受け取ります。
※失業認定申告書は雇用保険受給説明会の際に渡される場合もあります。
不足している離職票は届き次第、ハローワークに渡しましょう(郵送でも可能です)
そもそも離職票は必要なのか
離職票が必要なケースは、失業保険を申請する時です。
既に就職先が決まっている場合、もしくはすぐに次の就職先が決まりそうな場合は、ハローワークへ申請する必要はありません。
失業保険の手続き申請をして受給すれば雇用保険の加入年数がリセットされてゼロになります。
手続きをしたらリセットされるので、次の就職先より「0からのスタート」です。
次の就職先で1年間雇用保険に加入していれば再度受給資格を得ますが、1年に満たない場合は失業保険は受け取れません。
手続きをせずに次の会社に勤めた場合は、今までの加入期間はリセットされず継続されてます。
加入期間によって、受け取れる期間が変わってきますので、加入期間が長ければ長いほど受け取れる金額は多くなります。以下を参照。
※退職時、まだ次の就職先が決まっていない場合であれば、失業保険(雇用保険)の手続きをした方が個人的には良いと思っています。早めに決まった場合は再就職手当(最高70%)の支給もあります。
※今回手続きをしない場合でも、次の退職時に離職票は必要になるため、自宅で保管しておきましょう。
注意したいのが、手続きが遅れた場合です。失業保険の有効期限は退職した翌日から1年間です。その間に手続を行い、支給を全て受け終わる必要があります。特に自己都合退職で2ヶ月の給付制限がある場合は尚更注意しなければなりません。
離職票が遅れる理由
会社側での離職票発行の流れは以下になります。
1.担当者(総務等)が離職票(複写になっています)を作成し、ハローワークへ提出。
2.ハローワーク職員がチェックし、本人に渡すものと、会社控えを渡す。
3.担当者が退職者へ郵送
通常の流れであれば、退職した後1週間~10日前後で自宅に郵送されてきます。
なぜならば、会社側で10日以内に手続きをするように雇用保険法で定められているからです。
10日以内とありますので、余裕をもって2週間は待ちましょう。
雇用保険の喪失手続きは給与計算の手続きもあるため、締日等の関係で遅れる場合も十分にありえます。また離職票発行の手続き自体、優先順位を下げて対応する会社あります。
特に遅れる理由としてあげられるのは以下の3点。
1.会社側で手続きするのを失念している
2.給与計算等のタイミング
3.何らかの理由で離職票を出したくない
会社側で手続きを失念している
ただ単純に忘れていただとか、連絡ミス等のケース。
外部へ委託(社労士等)している場合などの伝達漏れもあります。
その場合は、まだ届いていない旨を伝えればすぐに送ってくれることが多いでしょう。
給与計算等のタイミング
離職票を発行するには、給与計算が出来ていないと作成できません。
給与の締日等の関係で最大1ヶ月近く遅れる場合があります。
これは締めの問題なので、仕方ないかもしれません。
他にも会社によってはハローワークに手続きに行く日が月に2回と決まっていたりすると遅れるケースもあります。
また4月などのハローワークの繁忙期に郵送等でやり取りする場合も遅れる場合があります。
何らかの理由で離職票を出せない
これは悪質なケースも含まれます。
普通の会社であれば、事務担当者が退職の手続きを行い、離職者に対して離職票と失業保険の手引を添えて送付します。
「本人が離職票は必要ありません」と言わない限りは発行しなければならない書類だからです。
何か離職者とのトラブルがあって、本人から連絡がこないと渡さない場合や、始めから雇用保険に加入していなかったと言う場合も考えられます。
催促しても離職票を送ってくれない場合
催促しても離職票を送ってくれない場合は、まずはハローワークへ相談しましょう。
ハローワークから連絡してもらうこともできます。
その方が話が早い。
雇用保険法に以下のように明記されています。
「離職票の交付を正当理由なく拒んだ場合は、雇用主は雇用保険法83条4号の規定により、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」
離職票を受け取るのは当然の権利です。
労働基準監督署へ相談に言ってもよいのですが、まずはハローワーク経由で催促してみましょう。
まとめ
離職票が届かないケースは本当に多いです。
まずは離職票が届かなくても、仮手続が出来ることを覚えておいてください。
退職後、まずは2週間待ってみる。それで来なければ確認のため連絡してみる。
それでも送られて来ないようであればハローワークへの相談と仮手続を行なう。
上記流れをおすすめします。
仮手続後に離職票が届いた場合は早めに提出しましょう。
ハローワーク側でも離職票がないと、失業手当の支給額の計算ができません。計算ができないと支給ができず更に伸びてしまいます。
また、離職票2に明記している退職理由も確認しましょう。
会社都合退職のはずなのに、自己都合退職扱いされている場合もあります。
会社都合退職か自己都合退職かでは、受け取れる失業保険の額が大きく変わってきます。
<<2018.4.5追記>>
ハローワークによっては本内容の仮手続きが行えない場合があります。
事前に住居地のハローワークへ連絡の上、仮手続きを行なうようにしてください。
仮手続きの前に、ハローワークより事業所への連絡が行われます。