介護休業給付は、両親などを介護するために会社を休んだ場合に支給される給付金です。
一般的には介護などで会社を休んだ場合は給与の支給されません。
この介護休業給付を利用することで、給与の67%(3分の2)の給付を受けることができます。
最長で3ヶ月(93日)です。
支給の申請は個人ではなく、事業主が行います。
介護休業終了後に一括申請し、一括で受け取ります。
では詳しく説明いたします。
介護休業給付とは
介護休業とは、労働者が介護休業を取得しやすいように出来た制度です。
介護休業中は給与が出ない場合が多いので、そこをケアしようというものです。
平成28年8月1日の改正で給付金が賃金の40%から67%に増え、更に取得しやすくなりました。
介護休業の上限は3ヶ月(93日)。これを上限に3回まで支給されます。
会社から介護休業中に給与が支払われている場合は、介護休業給付が減額されます。
介護休業給付を受けられる方
介護休業給付を受けられる方は以下の3つの条件をクリアする必要があります。
- 雇用保険受給資格者
- 過去2年間で1年以上雇用保険に加入している方※
- 介護休業開始において1年以上同事業主の下で勤務している
※1ヶ月で11日以上出勤している必要があります。
雇用保険は以下の条件で加入する必要があります。(雇用保険受給資格者)
雇用保険の加入条件
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 同一の事業所に継続して31日以上の雇用が見込めること
基本的には介護休業を取得する際に、同じ職場で1年以上勤めていれば、介護休業給付の条件は満たせると思われます。
支給対象となる介護者
以下の状態の家族を介護する場合に支給されます。
介護休業給付金は同じ家族について93日を限度に3回まで支給されます。
対象家族
配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫
どのような状況
負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族を介護するため
介護休業給付の支給額
原則として介護休業開始前賃金の67%です。
具体的には介護休業開始前6ヶ月の賃金を180で除した額です。
(例)額面30万円の場合
過去6ヶ月の賃金は合計で180万円。それを180で割ると賃金日額は1万円です。
その1万円の67%ですから、1日あたり6700円の支給になります。
30日介護休業した場合は、30日×6700円となり、介護休業給付は201,000円です。
介護休業給付の上限と下限
賃金日額を30で掛けると賃金月額になります。賃金月額の上限は492,300円。
492,300円の67%なので、支給される上限額は月額329,841円です。
賃金月額が74,100円を下回る場合は、74,100円となります。
74,100円の67%なので、支給される下限額は月額49,647円です。
介護休業給付の上限額:329,841円
介護休業給付の下限額:49,647円
支給対象期間と支給単位期間とは
介護休業給付の期間を支給対象期間と言います。
支給対象期間を1ヶ月ごとに区切ったものを支給単位期間といいます。
たとえば、5月7日から7月25日まで介護休業した場合
支給対象期間:5/7~7/25
支給単位期間その1:5/7~6/6
支給単位期間その2:6/7~7/6
支給単位期間その3:7/7~7/25
給付の条件として「就業していると認められる日が10日以下でなければ支給対象とはならない」とあります。
1つの支給単位期間中に11日以上出勤していた場合は支給対象期間にならないので注意しましょう。
介護休業給付中に給与が支払われた場合
介護休業給付は介護休業中に給与の代わりに支給されるものです。
給与を受けとっていた場合は、その額によっては減額されたり支給されなくなります。
会社からの給与 | 介護休業給付支給額 |
---|---|
13%以下 | 67%分全て支給 |
13%~80% | 80%までの差額を支給 |
80%以上 | 支給されない |
給与の50%が支給されていた場合
仮に介護休業中に給与の半分にあたる50%が支給されていたとします。
その場合の介護休業給付はいくらになるのでしょうか。
・給与30万円の50%にあたる15万円が支給される
※賃金月額を30万円とします。(過去6ヶ月の平均した給与額)
会社からの給与は13%~80%に該当するので、給与と合わせて80%までの差額を介護休業給付として受けることができます。
(計算式)
30万円×80%=24万円。
実際支給された給与は15万円であるため、24万円-15万円=9万円。
この9万円が介護休業給付として支給されます。
介護休業給付の申請方法
介護休業給付の申請は事業主側で行います。介護休業を取得した個人ではありません。
申請期間
介護休業の終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで
具体的な日付で説明すると、7月25日に介護休業が終了した場合は9月30日まです。
・終了日の翌日:7/26
・2ヶ月を経過する日の属する月の末日:9/30
必要な書類
事業主側で用意するものと、本人が用意するものがあります。
<事業主>
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 介護休業給付金支給申請書
- 介護休業の開始日、終了日等がわかる出勤簿、タイムシート等
- 介護休業中に支払われた賃金が確認できる書類(賃金台帳等」
<本人>
- 介護対象者との続柄がわかるもの(住民票など)
- 介護休業申出書
介護休業給付Q&A
介護休業給付についてのQ&Aです。
介護休業中に離職した場合はどうなるのか
支給単位期間の途中で離職した場合、最後の支給単位期間は支給を受けることができません。
たとえば3ヶ月の介護休業後の3ヶ月目で離職した場合は、最後の期間は支給されません。
(支給される)支給単位期間1
(支給される)支給単位期間2
(支給されない)支給単位期間3※
※ここで退職した場合
介護休業開始日から1ヶ月の間に11日出勤した
介護休業開始日より1ヶ月の間(支給単位期間)に11日以上出勤した場合は、介護休業給付は支給されません。
それ以降については要件を満たす場合は支給されます。
介護休業中の社会保険(厚生年金、健康保険)の支払いはどうなるの
育児休業のような免除制度がありません。厚生年金保険料、健康保険料、住民税は支払う必要があります。所得税と雇用保険料は給与が支払われていなければ徴収されません。
一般的には給与から控除できないため、復帰後に精算すると思われます。
給与が支払われていない場合は、所得税、雇用保険料の負担はありません。
介護休業給付を受け取った場合は確定申告する必要があるのか
介護休業給付は非課税なので、所得税や住民税がかかりません。これは失業保険と同じです。
確定申告の必要はありません。
介護休業中に離職し、その後失業保険を受け取れるか
失業保険(雇用保険)の要件を満たす場合は問題なく失業保険を受け取ることができます。
ですが、失業保険はすぐに働ける方が受け取れる給付金です。
介護のためすぐに働けない場合は受取る権利がありません(手続きができません)。
その場合は「受給期間延長の手続きを」ハローワークでとりましょう。
失業保険は受け取り期限があります。その期限は離職の翌日から1年間です。1年を超えると受け取ることができません。