派遣社員として就職が決まった場合、再就職手当が受け取れるのでしょうか?
派遣社員だから、3ヶ月更新だから、という理由で受け取れないということはありません。
もちろん受け取ることが出来ます。
ですが再就職手当を受けるには3つの条件があります。
その条件をクリアしていなければなりません。
その条件というのは以下の内容です。
- 1年を超えて勤務することが確実であること。(更新ありでも可)
- 就職日の前日までに基本手当の残日数が3分の1以上残っていること。
- 2ヶ月の給付制限期間がある場合は、最初の1ヶ月目はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介であること。
それぞれ説明していきます。
1年を超えて勤務することが確実であること
派遣で就職が決まった場合、最初の契約期間は3ヶ月がほとんどです。
それ以降は更に3ヶ月更新が続く契約内容になっているかと思います。
そのような雇用契約になっているため、実際に1年以上働くかわかりません。
ですが、派遣の場合は契約の更新があるかどうかで変わってきます。
最初の契約以降、継続の可能性があれば条件を満たすことができます。
3ヶ月契約(更新の可能性あり)は要件を満たす。
3ヶ月契約(更新の可能性なし)は要件を満たさない。
3ヶ月契約で更新がある場合は、再就職手当の対象です。
実際の申請の際は派遣会社にて行います。ハロワークが判断するわけではありません。
派遣会社が1年以上働く可能性があると再就職手当に必要な書類に記載します。
それをもってハローワークに手続きに行きます。
給付制限期間がある場合は、最初の1ヶ月目はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介であること
2つ目ですが、こちらの内容は少しわかりにくい条件です。
こちらは、自己都合で退職している方で2ヶ月給付制限がある方が対象です。
会社都合等で雇用保険がすぐに受け取れる方は問題ありません。
※令和2年の法改正より給付制限が3ヶ月から2ヶ月に短縮されました。
給付制限あり
給付制限がある方は、以下のような流れで雇用保険を受け取ります。
- ハローワークにて雇用保険の手続き
- 7日間の待機期間
- 2ヶ月の給付制限期間
- 雇用保険受給
この2ヶ月の給付制限期間中の最初の1ヶ月の間は、ハローワークまたは紹介事業者の紹介での就職でないと再就職手当は出ないという条件付きになります。
この期間に派遣として仕事をする場合は手当は受け取れません。
ここは注意が必要です。
ではハローワークや職業紹介事業者と、派遣会社では何が違うのでしょうか。
職業紹介事業者とは
パソナやテンプスタッフなどは、日本の代表的な派遣会社ですが、職業紹介事業者としても登録してます。ですが、派遣と職業紹介事業とは根本的に業務内容が異なっています。
派遣の場合は、派遣社員と派遣会社が雇用契約を結びます。(賃金の支払いなどは派遣会社から行われます)
職業紹介の場合は、あくまで仲介にすぎません。間には入りますが実際に雇用契約を結ぶのは労働者と就職先の事業者です。労働者と事業者が直接雇用契約を結びます。
職業紹介事業者の代表的なところがリクルートや人材バンク、人材コンサルタント会社などになります。いわゆる転職エージェントと呼ばれるところです。
ちなみに、エンジャパンやリクナビなどのインターネット求人サイトがありますが、そこを利用して採用されても再就職手当は受け取れません。求人サイトは求人情報を提供しているだけで、実際は本人と会社とで直接やり取りをしているからです。
給付制限の最初の1ヶ月とは
給付制限2ヶ月の最初の1ヶ月とはどの期間になるのでしょう。
◆手続きの流れ(4月15日に雇用保険の手続きをした場合)
4/15 | 雇用保険手続き |
4/15~4/21 | 待機期間(7日間) |
4/22~5/21 | 給付制限(1ヶ月目) |
5/22~6/21 | 給付制限(2ヶ月目) |
6/22~ | 支給開始 |
赤字のところが給付制限の1ヶ月目です。
5/21までに派遣として仕事をする場合は受け取れない可能性があります。
事前にハローワークへ確認しましょう。
赤字のところで就職する場合は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介が必要です。
5/22以降で就業する場合は、何ら問題ありません。
就職日の前日までに基本手当の残日数が3分の1以上残っていること
失業保険(雇用保険)の基本手当の3分の1以上残っていないと手当は受け取れません。
就職日の前日の時点で
3分の2以上残日数あり:7割支給
3分の1以上残日数あり:6割支給
3分の1以下の場合は受け取ることができません。
残日数については各自確認する必要があります。
(雇用保険受給資格者証の裏面に残りの残日数が明記されています)
ここではわかりやすく例で説明します。
給付制限がなく、所定給付日数が90日の場合
4/10 雇用保険手続き
4/10~4/16 待機期間(7日間)
4/17から支給開始
6/1から仕事始めの場合
上記ケースの場合、まずは就職予定日の前日の時点で残日数が何日残っているか計算しましょう。
4/17~4/30 (14日)
5/1~5/31 (31日)
上記足すと45日
90-45=(45日)
90日に対して45日残っているということは、ちょうど2分の1になります。
その場合3分の2以上ではなく、3分の1での計算になります。
※3分の1は60%
仮に1日の基本日額が5,000円の場合、
45日×5,000円×0.6=135,000円
この135,000円が再就職手当額です。
2ヶ月の給付制限がありの場合で、所定給付日数が90日の場合
4/10 雇用保険手続き
4/10~4/16まで待機期間(7日間)
4/17~6/16まで給付制限(2ヶ月)
6/1から仕事が決まった場合。
4/17~5/16まではハローワークまたは職業紹介事業者の紹介でなければ再就職手当には該当しません。
6/1の場合は1ヶ月以降での就職になるため問題ありません。
そして給付制限期間中であるため、90日分残っています。
この場合、3分の2以上は残っていることになるので70%支給です。
仮に1日の基本日額が5,000円の場合だと、
90日×5,000円×0.7=315,000円
この315,000円が再就職手当となります。
まとめ
今回の内容については事前にハローワークに問い合わせをして書いていますので、恐らく間違はないかと思いますが、実際はケースによって変わる場合もあります。
既に雇用保険の手続きをされている方は、いつまでに就職すれば再就職手当が受けれるのか計算してみましょう。
再就職手当は、平成29年1月1日より増額されています。
3分の2以上残っていた場合、60%⇒70%
3分の1以上残っている場合、50%⇒60%
それぞれ10%ずつアップしています。
雇用保険を最後まで受け取るよりは、さっさと就職して再就職手当を一括でもらった方が気持ち的にも楽かもしれません。
再就職手当を受け取る手続等については、以下をお読みください。
・再就職手当とは(失業保険)