失業保険(失業給付)の計算の元になるのは、離職前6ヶ月の給与額です。その額の1日当たりいくらかを計算します。その額を「賃金日額」と呼びます。
実際に受け取る失業保険は「賃金日額」のおよそ5割から8割。その額を「基本手当日額」と言います。
では、この離職前6ヶ月の給与総額の中に、ボーナスや交通費は含まれるのでしょうか?
また何が含まれて、何が含まれないのでしょうか?
結論から言えば、ボーナス(賞与)は給与総額の中には含まれません。
交通費は含みます。
ここの中身を間違って認識してしまうと、実際に受け取る失業保険の額が変わってきてしまいます。
では、何が含まれて何が含まれないのかを見ていきます。
ボーナス(賞与)は失業保険の計算に含まれない
失業保険(失業給付)の計算に含まれる賃金は、原則として毎月定期的な給与として支払われるものが対象となっています。
そのため、ボーナスは失業保険の算定対象には含まれません
ただし一部例外があります。
3ヶ月以内の期間ごとに支払われるボーナス(年4回以上)は算定対象となります。
年4回以上の支給だと、もうボーナスとは言わないかもしれません。
チェック
以前はボーナスも失業保険の算定対象に含まれていました。
当時の問題点としてボーナスを含めることで個人間に大きな格差が生まれたのです。
会社の規模や職種によっても変わってきますし、またボーナスの支給時期にも偏りもあります。
こういう問題から失業保険の算定元となる賃金の中には含まれなくなりました。
ボーナスは算定対象外なのですが、そのボーナスから雇用保険料が引かれています。
算定対象にはならないのに引かれているのはおかしさを感じます。
ですが、公的保険は相互扶助精神の仕組みで成り立っており、様々な歴史の中から今のような制度になっているのです。
交通費(通勤手当)は雇用保険の計算に含まれる
交通費は失業保険の算定対象に含まれます。定期券や回数券などもそうです。
交通費については、実際に収入にはならないのですが算定対象に含まれます。
交通費を多く使っている方の方が失業保険を多く受け取れることになります。
失業保険の対象に含まれるもの、含まれないもの
対象となるもの
- 基本賃金
- 残業手当(超過勤務手当)
- 深夜手当
- 休日手当
- 通勤手当(定期券、回数券等)
- 教育手当
- 日直手当
- 役職手当
- 家族手当(扶養手当、子供手当等)
- 住宅手当(家賃補助)
- 技能手当
- 調整手当
- 奨励手当(精勤手当、皆勤手当等)
- 宿直・日直手当など
対象とならないもの
- 出張手当
- 宿泊費
- 賞与(年3回以内)
- 結婚祝い金
- 死亡弔慰金
- 災害見舞見金など
基本的には毎月支払われるものは対象となります。その都度発生するものについては対象とならないと覚えておけばよいでしょう。
失業保険を増やすには残業する
失業保険の算出対象に、含まれるもの含まれないものを見てきました。
失業保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
離職した日の直前の6ヶ月間に支払われた賃金から1日あたりの金額を計算します。
その金額のおよそ50%から80%が基本手当額として支給されます。
ただし上限や下限は決まっていますので、たとえ高い給与を得ていたとしても、上限を越えて支給されることはありません。
以下の内容もあわせてお読みください。
・雇用保険(失業保険)はいくらもらえるの?
・雇用保険(失業保険)はいつまでもらえるの?
・失業保険の金額を計算(自動計算ツール)
そう考えると、辞める前の6ヶ月分の給与を増やせば、それだけ失業保険を多くもらえることになります。そして唯一増やせるのが、残業代です。
なるべく退職前に残業することで、失業保険を増やすことができます。
基本手当日額を100円増やすことで、月に受け取れる額は3000円(30日分)も増えるわけです。
もちろん退職する前は有給(年休)を使う方も多いかと思います。
有給を使うことで給与が減ることはありませんが、欠勤扱いだと給与が出ませんので注意が必要です。
有給を消化する前に残業を多くするなど、その辺の兼ね合いは必要かもしれません。
※ここでは一般的に広まっている「失業保険」という言葉を使って説明してきましたが、実際は雇用保険の失業給付のことを言います。