雇用保険(失業保険)とは

失業保険で得する人と損する人(特定受給資格者と特定理由資格者)

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失業保険のもらえる額はいろいろな要素で決まります。
大きな要素は以下の3つです。

退職理由
雇用保険の加入期間
年齢

ここで一番大事なものは、どのような辞め方をしたかの退職理由です。

会社の倒産や解雇などで退職した場合はもちろんですが、自己都合でも正当な理由がある退職であれば優遇されます。

どのような人が優遇され、また優遇されないのでしょうか。
ここでは「特定受給資格者」、「特定理由資格者」について詳しく説明していきます。

 

得する人、損する人の条件

まず失業保険を手続きする際は、以下4つの対象者に分類されます。

会社都合で退職した場合は、「特定受給資格者」となります。
自己都合の場合、「特定理由資格者1・2」「一般受給資格者」に分かれます。

「特定理由離職者」はその名の通り、特定の理由(正当な理由)があって退職した場合です。
その理由により1と2に分かれます。

では退職した理由で何が優遇されるのでしょうか。

対象者 2ヶ月給付制限 給付日数優遇
特定受給資格者 なし あり
特定理由離職者1 なし あり
特定理由離職者2 なし なし
一般受給資格者 あり なし

※2ヶ月給付制限・・・ありの場合、2ヶ月の給付制限あり
※給付日数優遇・・・失業保険の受給期間が伸びる場合があり

まず2ヶ月の給付制限というのは、退職後にハローワークで失業保険の手続きをした後に2ヶ月待たなければならないということです。「なし」の場合は2ヶ月の給付制限はありません。

※2020年(令和2年)10月1日より、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が3ヶ月から2ヶ月へと短縮されました。

給付日数優遇とは、自己都合退職よりも失業保険を受け取る期間が長いということです。
これは以下のように雇用保険の加入年数が大きく関わってきます。

特定受給資格者と特定理由離職者1の給付日数

■給付日数優遇ありの場合です。

対象者:特定受給資格者と特定理由離職者1
所定給付日数が優遇され、給付制限もつきません。

被保険者であった期間 6ヶ月以上1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

自己都合退職(特定受給資格者、特定理由離職者1、就職困難者以外)

■給付日数優遇なしの場合です。

対象者:一般受給資格と特定理由離職者2
一般受給資格の場合は2ヶ月の給付制限があります。

被保険者であった期間 6ヶ月以上1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 90日 120日 150日

就職困難者

就職困難者とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、刑法等の規定により保護観察に付された方、社会的事情により就職が著しく阻害されている方などが該当します。

対象者:身体障害者、知的障害者、精神障害者等

被保険者であった期間 6ヶ月以上1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 360日

離職票の見方

自分がどの対象者になるのかは、退職後に会社から送られてくる「離職票-2」でわかります。
会社側で退職理由(離職区分の離職コード)の欄に○をしてくるからです。この○をもとにハローワークがどれに該当するかを判断します。

離職票-2画像

離職票-2の右側には該当する退職理由に○がついています。これは会社側で記入するものです。

対象者 離職コード
特定受給資格者 1A, 1B, 2A, 2B, 3A, 3B
特定理由離職者1 2C
特定理由離職者2 3C, 3D
自己都合退職 4D, 5E

離職区分の詳細:離職理由コード(詳細を詳しく説明)

離職理由コードによって、4つの対象者に分かれます。
どういった退職理由になるのか、退職前に事前に会社側へ確認すると良いかもしれません。
やむを得ない理由での退職(夫の転勤での退職等)にもかかわらず、送られてきた離職票が4D(正当な理由がない自己都合退職)の場合、手続き時にハローワークへ相談しましょう。

ハローワークが会社等に内容を確認し、正当な理由として認められれば「特定受給離職者」や「特定理由離職者」になります。その場合、証明する何らかの書類が必要になる場合もあります。

では、具体的に「特定受給資格者」と「特定理由離職者」について説明していきます。

特定受給資格者とは

特定受給資格者とは、自らの意思ではなく、会社での都合で退職せざるを得ない場合の対象者です。
また、給料の大幅減、残業過多や、契約更新できなかった場合なども該当します。

【1】倒産などにより退職

  1. 倒産によって退職。倒産とは、破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続きの申し立てや手形取引の停止等をいう。
  2. 事業所に雇用されている被保険者の3分の1を超える者が退職した場合。また1ヵ月30人以上の退職を予定する場合の届出がされたとき
  3. 事業所の廃止により退職
  4. 事業所の移転により、通勤が困難になり退職

【2】解雇等により退職した人

  1. 解雇により離職(重大な自己責任解雇を除く)
  2. 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したため離職
  3. 給料の3分の1を超える額が支払日までに支払われなかった月が2ヵ月以上続いたため離職
  4. 給料が以前に比べ85%未満になったために離職(そのことが想定できなかった場合)
  5. 退職前6ヶ月のうち、(1)いずれか連続する3ヶ月で45時間、(2)いずれか1ヶ月で100時間、又は(3)いずれか2ヶ月以上平均して1ヶ月80時間を超える時間外労働が行われたため退職。又は事業主が危険若しくは健康を害する恐れがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、なんら措置を講じなかったため離職
  6. 事業主が法令に違反し、妊娠中、出産後、子の養育中、家族の介護を行なう者を就業させ、またそのような者雇用の継続を図るための制度を不当に制限したこと、又は妊娠、出産それらの制度の申出をし、若しくは利用したことを理由として不利益な扱いを受けたため離職
  7. 事業主が労働者の職種転換の時、継続して働けるような必要な配慮を行わなかったため離職
  8. 有期契約で3年以上雇用されて働いているのに契約が更新されなかったため離職
  9. 有期契約で「契約更新があり」にもかかわらず更新されずに離職(8に該当する場合を除く)
  10. 上司や同僚から著しい冷遇や嫌がらせを受けて退職。及びセクハラの事実がありながら事業主が何ら措置を講じなかったために離職
  11. 事業主から直接もしくは間接的に退職するように勧奨を受けて離職。(早期退職優遇制度は該当しない)
  12. 事業主が法律違反などにより、3ヶ月以上休業になり離職
  13. 事業主の業務が法律に違反しているために離職

特定理由離職者とは

特定理由離職者とは、契約更新満了や、病気やケガ、家族の介護などで働けないなど、正当な理由がある退職の場合に該当します。

特定理由離職者1

【1】労働契約期間が満了し、かつ次の更新がないことにより退職(更新を希望したが更新できなかった場合)(特定受給資格者【2】8または9に該当する場合を除く)
※「契約の更新をする場合がある」とされている場合

特定理由離職者2

【2】以下の正当な理由のある自己都合退職

  1. 体力の不足、心身の障害、疾病、けが、視力、聴力、触覚の減退等による離職
  2. 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険の受給期間延長措置を受けた人
  3. 父または母の死亡、疾病、けがのため介護するため離職(家庭の事情が急変した場合)
  4. 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となり離職
  5. 次の理由により通勤が困難になって離職
    • (a)結婚により住所が変わったため退職
    • (b)育児に伴う保育所、その他これに準ずる施設の利用又は親族への保育の依頼
    • (c)事業所が通勤困難な場所へ移転したため退職
    • (d)自分の意志に反して引越しが必要になり退職
    • (e)鉄道やバス等の交通手段の廃止又は運行時間の変更により退職
    • (f)会社の指示による転勤や出向に伴う別居の回避のために退職
    • (g)夫(または妻)の転勤、出向または再就職に伴う転居のために退職
  6. その他、上記「特定受給資格者の範囲」の【2】の11に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて退職

さいごに

会社の退職理由によって受け取れる失業保険の金額や期間が変わってくることを説明してきました。失業保険の手続きするときは、送られてくる離職コード確認しましょう。

具体的には離職票-2の離職区分です。1A(11), 1B(12), 2A(21), 2B(22), 3A(31), 3B(32)は「特定受給資格者」2C(23),3C(33), 3D(34)は「特定理由離職者」、共に失業保険を受け取る際に優遇されます。

また、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」の場合は、国民健康保険が軽減される場合があります。
また国民年金を安くする国民年金免除制度も利用できる場合もあります。

■詳しくは以下の記事を参照願います。
失業中は国民健康保険が安くなる
国民年金を安くする国民年金免除制度

失業保険で得する人と損する人。損をしないためにも事前に確認しておきたいものです。

 

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