失業給付期間中にアルバイトすることは可能です。
ですが、次のことに気を付けなければなりません。
- 雇用保険に入らないこと
- 4時間以上働いたらその日は支給されない
- 4時間未満でも収入によって減額される場合がある
- アルバイトしたら必ず申告する
失業保険の本来の目的は、失業期間の生活保障として支給されるもの。
失業保険が支給されるので、その間は安心して求職活動ができるわけです。
ですが、失業保険の額が少なかったりと生活する上で働かなければならないこともあるでしょう。
では働く上で注意しなければならないことを詳しくみていきましょう。
雇用保険に入らないこと
雇用保険に加入するような働き方をしてしまうと、それが就職になってしまいます。
「雇用保険に入ること=就職」
働いても構いませんが、まずは雇用保険に入らない働き方が必要です。
【雇用保険適用要件】
- 1週間の所定労働時間が20時間以上あること
- 31日以上の雇用見込があること
上記の適用要件に当てはまると、就職とみなされます。
就職とみなされたら、その時点で失業保険はストップされます。
その代わりとして、残日数が3分の1以上残っていれば「再就職手当 」が支給されます。
たとえ短時間だとしても(1日5時間、週4日のパートでも)雇用保険の加入要件をクリアします。
雇用保険の要件に適用する場合、本人の意志は関係なく会社側で強制的に雇用保険に加入させなければなりません。
もし雇用保険に入るような働き方をする場合は会社へ相談してみましょう。
1日4時間以上働いたらその日は支給されない
失業保険を受ける条件として、1日4時間以上働いたらその日の失業保険の支給はありません。
なくなるわけではなく、後ろに繰越しされることになります。所定給付日数は減りません。
その日働いていなくても、収入がなくても、4時間以上の時間を費やしたら出ないということです。
たとえばボランティアでも、友人の手伝いなど賃金が発生しなくても同じこと。
ややこしいのは次の4時間未満の場合です。
4時間未満でも収入によって減額される場合がある
まず、基準になるのが4時間を超えていたかどうかです。
前述の通り、4時間を超えた場合は就労扱いとなり、その日の基本手当の支給は行われません。
ならば4時間未満はどうでしょう?
1日4時間未満、週20時間未満で働いた場合、内職(家計補助的な短時間労働)扱いとなります。
そのため失業保険(基本手当)は支給されます。ただし、受け取る金額によっては失業保険を減額される場合があります。
この計算式はやや複雑です。
具体的には、1日当たりの「失業手当の額」と「内職の額」を足した合計が、賃金日額の8割以内であれば、基本手当を満額受け取ることができます。
賃金日額が10000円(過去6ヶ月の平均が月収30万)だった場合のケース(例)
・35歳で給付日数90日で計算すると、基本手当額が5687円になります。
「失業保険の金額を計算(自動計算ツール) 」
・限度額の計算には、税金と同じく控除(1287円 ※H29.8.1から)があります。
では、上記内容の場合はどこまで働けば満額受け取れるのでしょう。
例の場合の賃金日額は1万円です。賃金日額とは過去給与6ヶ月分の1日当たりの平均額です。
雇用保険受給資格者証の14番(離職時賃金日額)に載っています。
計算式としては以下の通り
- 賃金日額の8割を計算する
- に控除額を足す
- に基本手当日額を差し引く
まずは、賃金日額の8割を計算すると、10000円の8割は8000円となります。
そこに控除額の1287円を足すと、9287円となります。
この9287円より基本手当日額の5687円を差し引くと3600円となります。
この3600円までが満額を受け取ることができる内職の限度額です。
時給1000円と1500円で3時間のアルバイト・パートをした場合
1日1000円のアルバイトを3時間したとしても、1日3000円にしかならないため、基本手当を引かれることはありません。
1000円×3時間=3000円の収入 3000円+5687円=8687円
→9287円より少ないため基本手当日額は全額支給となります。
1日1500円のアルバイトを3時間した場合は賃金日額の8割を超えてしまうため、その分は支給されません。
1500円×3時間=4500円の収入 4500円-1287円(控除額)+5687円=8900円
→8000円(賃金日額の10000円の8割)より900円超えるため、差分の900円分が基本手当日額より差し引かれ、4787円が支払われます。
- 収入と基本手当日額との合計が賃金日額の80%相当額以下の時 ⇒ 全額支給
- 収入から控除額を差し引いた額と基本手当日額との合計が賃金日額の80%相当額を超える時
⇒超える分の額を基本手当日額から減額して支給 - 収入が賃金日額の80%相当額を超えるとき ⇒ 基本手当は不支給
2ヶ月の給付制限期間中のアルバイト
自己都合退職で会社を辞めた場合は、2ヶ月3ヶ月の給付制限が付きます。
実際には失業保険が支払われるのが3か月先になります。
※2020年(令和2年)10月1日より、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が3ヶ月から2ヶ月へと短縮されました。
それまでは収入がないため、2ヶ月の給付制限期間中はアルバイトをしても問題ありません。
フルタイムで働こうと、雇用保険に加入しようと問題ありません。
ただし働いていることのハローワークへの報告と、失業保険を受け取るには給付制限終了前に離職する必要があります。
働いて収入を得ている状況では失業保険を受け取ることができないからです。
2ヶ月だけアルバイトをする予定であっても、そのまま就職となれば再就職手当の対象になる場合もあります。
・再就職手当とは
7日間の待期期間中のアルバイト
この7日間は、今現在失業状態にあるのかどうかを確認するための期間です。
そのために7日間の失業状態であることが必要です。
この間にアルバイト等した場合は、失業状態でないと判断され再度7日間の待機期間が必要になります。
失業保険を受け取るためには、失業保険手続き後の7日間は控えたほうがよいでしょう。
アルバイトしたら必ず申告する
アルバイトをしていることを隠すと・・・・
失業給付をもらうには、働く意志と能力があるにもかかわらず、仕事に就くことができない人であることが条件です。
もしアルバイトをしていたことを申告せずに後日バレてしまったら、受け取った給付額を返還するとともに、2倍のペナルティー(計3倍)を支払わなければなりません。
絶対にばれないと思いつつも、誰それの密告で発覚するのが一番多いケースです。