契約社員や派遣で働いていた場合、契約期間満了でも失業保険を受け取るまで2ヶ月の給付制限はつくのでしょうか?
同じ契約期間満了でも様々なケースがあります。ここでは具体的な事例を元に説明していきます。その内容によって2ヶ月の給付制限があるかないかが分かれます。
※2020年(令和2年)10月1日より、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が3ヶ月から2ヶ月へと短縮されました。
2ヶ月の給付制限がある場合は、口座に振り込まれるまでに4ヶ月も待たなければなりません。それでは生活できない場合もあるでしょう。
失業保険を受け取るにあたって、2ヶ月の給付制限があるかないかで大きく変わってきます。
あなたの退職理由は?
給付制限がない場合、失業保険の手続き後、約1ヶ月後に自分の口座に失業給付(基本手当て)が振り込まれます。ですが2ヶ月給付制限がある場合、口座に振り込まれるまで3ヶ月程かかります。
失業保険が振り込まれるまで3ヶ月待てないという方もいるでしょう。2ヶ月の給付制限があるかないかで今後の生活設計が大きく変わってきます。
一番大切なことは、退職理由が「特定受給資格者」もしくは「特定理由離職者」に該当するかどうかです。該当すれば2ヶ月の給付制限はつきません。
さらに「特定受給資格者」と「特定理由離職者」の一部では、給付日数の優遇措置もあります。優遇措置とは、通常の給付日数よりも失業保険を多く受け取れるということです。その金額と日数は、雇用保険の加入期間や年齢によって異なります。
では、先に「特定受給資格者」と「特定理由離職者」、そして自己都合退職である「一般受給資格者」の内容について説明していきます。特定理由離職者の場合は、退職理由により1と2に分かれます。
◆特定受給資格者、特定理由離職者1
・給付制限なし
・給付日数優遇措置あり
◆特定理由離職者2
・給付制限なし
・給付日数優遇措置なし
◆一般受給資格者
・給付制限あり
・給付日数優遇措置あり
たとえば35歳の方が派遣社員を5年勤めて離職した場合
・契約更新されず退職した場合は、180日の給付日数
・自分の意思で退職した場合は、90日の給付日数
上記のように年齢や雇用保険の加入期間によって大きく異なります。
※自分がどれに該当するかは、退職後に会社から送られてくる離職票(離職票-2)を見ればわかります。
下図離職票-2の右端の欄です。(赤い四角の囲み部分)
離職コードの詳細な内容については、以下のページにて確認してください。
(参考)>離職理由コード(詳細を詳しく説明)
また、以下のページも合わせてご覧ください。
(参考)特定受給資格者と特定理由離職者とは(失業保険が優遇されます)
下記表の通り特定受給資格者又は特定理由離職者の方が待遇は良くなります。
対象者 | 給付制限 | 給付日数優遇 |
---|---|---|
特定受給資格者 | なし | あり |
特定理由離職者1 | なし | あり |
特定理由離職者2 | なし | なし |
一般受給資格者 | なし | なし |
契約社員の場合
退職理由により、以下のように分かれます。
特定受給資格者になる場合
■該当する退職理由
・会社都合で契約満了をまたずに解雇された場合
・更新ありの契約だったが、更新されなかった場合
・3年以上働いたが、その後更新されずに(更新の有無は関係ない)離職した場合
上記理由の場合は、特定受給資格者に該当します。
特定受給資格者は給付制限はなく、給付日数優遇措置はありです。
ただし自分の意思で契約満了を待たずに退職した場合は、一般受給資格者となります。
(給付日数優遇措置なし、給付制限あり)
特定理由離職者1になる場合
■該当する退職理由
・契約期間が終了し、本人が更新を希望したにもかかわらず合意に至らなかった場合
※契約の更新がありの場合、または何も明示がない場合が該当。
上記の場合は、特定理由離職者1に該当します。
特定理由離職者は「給付制限はなし」、「給付日数優遇措置はあり」です。
特定理由離職者2になる場合
■該当する退職理由
例えば、ケガや病気で働けなくなった場合や、父母の介護が必要でやむなく退職する場合など。
上記の場合は、特定離職者2に該当します。
特定理由離職者は、「給付制限はなし」、「給付日数優遇措置はなし」です。
一般受給資格者になる場合
特定受給資格者、特定理由離職者以外の方が対象となります。
この場合は、「給付制限はあり」、「給付日数優遇措置はなし」です。
派遣社員の場合
派遣社員の場合は、主に3ヶ月毎に契約更新していくと思います。
基本的には以下の考え方です。
・更新を希望したにも関わらず更新がない場合は特定理由離職者1になります。
・更新があった場合は以下の流れになります。
更新の可能性があるのに自分から「更新しない」ことを伝えた場合は一般受給資格者になり給付制限がつきます。
ですが、その後同じ派遣会社から1ヶ月間仕事を紹介されても決まらなかった場合は特定理由離職者1になります。
派遣会社には、契約満了になってから「1ヶ月以内に次の仕事を見つける」という義務があるからです。
1ヶ月経っても仕事が決まらずに離職票の発行を希望した場合には特定理由離職者1になり、給付制限もつきませんし、給付日数優遇措置もあります。
1ヶ月の間に派遣先から紹介を受けたとしても、紹介先の仕事を必ずやらなければならないということはありません。あくまで自分に合わないなら断っても構いません。
派遣で仕事をしている方は、契約が終了しても1ヶ月待たなければならないことに注意してください。
1ヶ月待たずに離職票を請求すると一般受給資格者になります。
やむを得ない理由での退職の場合
退職理由は様々です。たとえ自己都合に見えても、実際は労働条件が悪化したり、職場環境が悪くて仕方なく退職しなければならない場合もあります。
・賃金の遅延があった。
・賃金が今までより85%未満に低下した
・月45時間以上の残業が3ヶ月以上または100時間を超える残業が1ヶ月あった。
・上司からパワハラやセクハラを受けた
上記のような理由に該当する場合は「特定受給資格者の範囲」になります。
・体力や心身の障害により働くのが困難になった
・両親の介護が看護が必要になり退職した
・転居(結婚等)のため通勤が困難となった
上記のような理由に該当する場合は「特定理由離職者2の範囲」になります。
※特定受給資格者、特定理由離職者等については毎年のように法改正が入ります。
詳細は厚生労働省のページをご覧ください。
(参考)<特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要 i class="fa fa-external-link">
まとめ
「このような場合にはこのようになる」というある程度の決まりごとはあります。
ですが、最終的な判断は会社側と本人との話し合いです。
もし退職理由に納得いかなければ、会社側と話し合いましょう。
会社によっては、離職者に有利になるような退職理由にしてもらえる場合もあります。
ハローワークはその指示通りに処理を行なうだけです。
(離職票-2に書かれている内容で処理)
手続きの際にハローワーク側から退職理由に間違いかないかの確認があります。
もし納得できないような状況であれば、ここではっきりとハローワークに相談することです。
ハローワークが間に入り、話し合いが行われます。