失業保険の不正受給についてまとめてみました。
不正受給とは本来、失業保険が受け取ることができないにもかかわらず、不正な手口で失業保険を得ようとすることです。受けたか否かは問いません。
不正が発覚した場合は、失業保険の支給停止はもちろん、全額返金とそれに加えて2倍(合計3倍)の納付命令を受けることもあります。
例えば以下の場合が不正受給にあたります。
不正受給の具体例
よくある不正受給の例です。
このくらいは大丈夫だろうという気持ちが不正受給を生み出します。
- 実際には行なっていない求職活動を申告した
- 仕事をしたのに申告しなかったり、虚偽の申告をした
(パート、アルバイト、派遣、試用期間、研修期間、日雇い含む) - 就職が決まっているのに虚偽の日付を申告した
- 自営の準備や自営業、請負をはじめているにもかかわらず申告しなかった
- 内職や手伝いをした事実、及び収入を隠したり、偽ったりした
不正の動機はさまざまです。
一番多いのが仕事をしたのに申告しない場合です。
- 1日くらいならわからないだろう
- 研修期間中だから問題ないだろう
- ちょっと手伝いをしただけだから
- ボランティアでお金もらってないから
etc・・・
「申告するべきかどうかわからなかった」「失業認定申告書の書き方がわからなかった」という場合にも、不正受給として処分されますので気をつけましょう。
自分で判断できなければハローワーク確認することが一番です。
不正受給による罰則
不正受給はハローワークで厳しく取り締まっています。
発覚した場合は、以下のような罰則が科せられます。
①支給停止 | 不正の行為のあった日から失業保険を受ける権利がなくなり、以後一切の支給は停止される。 |
---|---|
②返還命令 | 不正な行為により支給を受けた金額は、全額返還しなければならない |
③納付命令 | さらに偽りその他不正行為により支給を受けた金額の2倍以下の金額を納付しなければならない。 ②と合わせて不正した金額の3倍以下の金額を納めなければならない。 |
財産の差押え 詐欺罪 |
支払いを行わない場合は延滞金が課せられ、財産の差し押さえが行われる場合がある。 |
不正があった日から失業保険は停止され、さらに全額返金しなければなりません。
さらに悪質な場合は合計3倍の納付命令の可能性もあります。(3倍返し)
納付から逃れようとしても財産の差押えもあるので、かなり厳しい内容になっています。
また事業主の連帯納付義務というのも存在します。
不正受給はばれるの?
不正受給については厳しくチェックされ、「忘れていた」「知らなかった」は基本的に通用しません。
たとえば、「友人の引越を手伝った」場合、たとえ収入がなくても報告が義務付けられています。
では、どのようにして発覚するのでしょうか?
- コンピュータシステム、聞き取りにより発覚
- 事業所調査、家庭訪問などによる発覚
- 密告、告発等のタレ込みによる通報
etc・・・
一番多いのが密告です。密告で発覚するケースがほとんどです。
本人はバレないと思っていますが、周りはその状況を見ています。
稀にそれが食わない人もいるのでしょう。通報は匿名でも可能なので、通報者の氏名等はわかりません。
ハローワークとしても、通報があれば調べないわけにはいきません。
調査した結果、不正受給が発覚というのが一番多いケース。
それ他にもランダムサンプリング(無作為抽出)があります。
無作為に選んで追跡調査を行います。
不正受給Q&A
不正受給についてのQ&Aです。
就職が決まったが、その前に研修を3日間行なうことになった。無収入だったため申告しなかった
事前研修であっても、申告は必要です。収入の有無は関係ありません。その日は就職活動を行えなかったという事実を申告する必要があります。
また就職日の前日まで失業保険を受け取ることができます。
失業保険受給中、暇な時間にFXの取引を行い利益を得た
それが生業(事業)でなければ申告する必要はありません。株取引も同様です。
しかし継続して事業として利益を上げてししまうと、それは生業とみなされます。
メリカリなどのフリマアプリに出品して商品を販売した
収入があろうがなかろうが、働いた日(製作した日)を申告しなければなりません。
自宅にある物を販売した場合は、申告する必要はありません。
3日間だけ知り合いの仕事を手伝った。賃金は失業保険終了後に受け取る予定
賃金をもらってももらわなくても申告する必要があります。無償のボランティアでも同様です。
「就職活動しなかった日」を確認するために必要です。
失業保険中アルバイトした。確定申告や年末調整の時に不正受給がバレることがあるの
現在はハローワークで把握することはできません。ですが今後はわかりません。
確定申告や年末調整した場合、各個人ごとにいくら収入があったかわかります。
個人で隠していても、企業側で提出しなければならないからです。
たとえば確定申告をした場合、税務署から住居地の市区町村にデータが届きます。
市区町村はそのデータを元に住民税や保険額等を算出します。
縦割り行政になっているため、市区町村役場のデータはハローワークでは見ることができません。
ですが、マイナンバー導入で、今後はどのような状況になるかはわかりません。
定年退職を迎え、今後働く気がありません。
失業保険は積極的に就職活動を行なう人が受け取れるものです。
そもそも働く気がない人は失業保険を申請することはできません。
まとめ
失業保険は失業中の生活保障ではありません。就職活動を行なうために支給するものです。
そのため就職活動が出来ない日があれば、その日の失業保険の支給はありません。
失業保険を受け取っている人は日本全国で何十万人もいます。
その中で不正受給が発覚しているのはごくわずか。そのほとんどが他者からの密告によるものです。
正しく申告したからといって失業保険の日数自体が減るわけではありません。
その日は支給されずに、支給日が後ろにずれるだけです。
(4時間未満で収入がある場合は減額される場合があります)
そのため、不正受給になるのか心配するよりは正しく申告したほうが精神的にも安心できるでしょう。