訓練制度は知らないと損することばかりです。
国や民間が行っているキャリアアップ講座は全国で何百も何千もあります。
ここで紹介する教育訓練制度は、国が受講料を負担するキャリア形成支援制度です。
教育訓練制度は「一般教育訓練」と「専門実践教育訓練」に分かれています。
制度をより理解することでお金の負担も減りますし今後のスキルアップを繋がっていきます。
「職業訓練」との比較も含め、説明していきます。
教育訓練給付制度(給付金)とは
教育訓練給付制度は、雇用保険に加入中、もしくは加入していた方が対象で、スキルアップを目指す講座の受講料を一部負担してくれる制度です。
職業訓練は離職者向けです。教育訓練は在職者でも利用できるのがメリットです。
仕事をしながら通うことができ、講座の20%分を支給してくれます。
また2014年10月からは「一般教育訓練」と拡充された「専門実践教育訓練」の2本立てになりました。
専門実践教育訓練は離職者が対象です。詳細については以下ページをご覧ください。
職業訓練と教育訓練給付制度との違い
職業訓練制度と似ているところがありますが、職業訓練は離職者向けです。
教育訓練制度は、仕事に今就いている方でも受講できる制度です。また新しくできた専門実践教育訓練は離職者向けですが、国家資格を取得できるなど職業訓練よりもより充実している講座もあります。
主に資格取得や技術を学ぶという意味では似ています。
以下、その違いです。
■職業訓練(離職者向け)
受講料 | その他の支給 | |
---|---|---|
公共職業訓練 | 無料※1 | 失業保険の延長や交通費・受講手当支給あり |
求職者支援訓練 | 無料 | 職業訓練受講給付金対象者は月10万円と交通費 |
■教育訓練(一般教育訓練は在職者でも可)
受講料 | その他の支給 | |
---|---|---|
一般教育訓練 | 受講料の20%を負担※2 | なし |
専門実践教育訓練 | 受講料の50%を負担※3 | 資格取得時は更に20%追加。 45歳未満で失業保険受給者は終了後80%の支給あり |
※1 1年以上は有料のコースもあり。
※2 上限10万円
※3 年間上限40万円まで
職業訓練の詳しい制度や内容については以下のサイトをご覧ください。
◆知らないと損をする 職業訓練 のすべて
教育訓練給付の具体的な対象者と金額
一般教育訓練と専門実践教育訓練の以下の通りです。
一般教育訓練
一般教育訓練 | |
---|---|
対象者 | 雇用保険対象期間が3年以上の在職者 ※初めて受講の方は1年で可 |
支給対象費目 | 資格スクールなどの入学金+受講料 |
支給相当額 | 支給対象費用の20% ※年間上限10万円 |
支給対象期間 | 1年 |
(例)30万円の英会話スクールに通った場合、20%の6万円が後日申請後に支給されます。
※スクールは修了する必要があります。
専門実践教育訓練
専門実践教育訓練 | |
---|---|
対象者 | 雇用保険対象期間が10年以上 ※初めて受講の方は2年以上で可 |
支給対象費目 | 専門職大学・大学院、専門学校などの入学金+受講料 |
支給相当額 | 支給対象費用の50%(年間上限40万円)。また、受講終了から1年以内に資格などを取得し、就職に結びつけば更に受講費用の20%(上限16万)が追加支給(合計70%)。さらに、受講時に45歳未満であれば、雇用保険(失業給付)の80%の支給を受けながら訓練施設に通うことができます。 |
支給対象期間 | ~3年 |
※離職している場合は、離職日の翌日以降、受講開始日が1年以内である必要があります。
例として3月31日退職の場合は、期限としては来年の4月1日入校日までです。
どのような講座を受けることができるのか
教育訓練給付制度で支給を受けるには、厚生労働大臣が指定する資格・検定講座や大学、大学院、専門学校であることが条件です。
一般教育訓練、専門実践教育訓練の両方の検索が可能です。
「分野・資格名」「スクール・キーワード」で検索することができます。(以下実際の画面例)
また、専門実践教育訓練の指定講座については下記ページにて指定講座一覧が定期的に更新されています。
◆厚生労働省・専門実践教育訓練の指定講座について
⇒リンク内に専門実践教育訓練給付制度指定講座一覧【全体版】pdfファイルがあります。
■2016年10月~2019年4月までの「業務独占・名称独占資格」講座一覧
講座名 | 講座数(全国) | 期間 |
---|---|---|
看護師 | 256 | 24~36ヶ月 |
介護福祉士 | 121 | 3~24ヶ月 |
美容師 | 115 | 24~36ヶ月 |
調理師 | 94 | 12~18ヶ月 |
保育士 | 85 | 24~36ヶ月 |
歯科衛生士 | 84 | 36ヶ月 |
社会福祉士 | 59 | 9~18ヶ月 |
はり師 | 56 | 36ヶ月 |
柔道整復師 | 49 | 36ヶ月 |
准看護師 | 49 | 24ヶ月 |
栄養士 | 47 | 24ヶ月 |
他にも臨床工学技士、あん摩マッサージ師、製菓衛生師、歯科技工士、キャリアコンサルタント、理学療法士、作業療法士などがあります。
業務独占、名称独占資格以外でも約900講座全国で開講しています。
その種類はIT系、事務系などはもちろんのこと、音楽、マンガ、動物ポリマーなど様々です。
通学する講座でないと支給されない?
「通学」だけでなく、「通信」や「eラーニング」の講座も対象です。
通学だけでなく、通信教育やインターネットを利用したeラーニングでも学ぶことが可能です。
自分のライフスタイルにあわせて選択できます。
ユーキャン(U-CAN)などの通信教育期間でも教育訓練給付金(20%)の対象となります。
※ただし厚生労働大臣指定教育訓練講座であることが条件です。
自分が教育訓練給付金の受け取れる対象かどうか調べるには
実際に雇用保険の加入履歴を「ハローワークにて照会」するしかありません。
ハローワーク又は教育訓練施設で配布する「教育訓練給付金支給要件照会票」用紙に必要事項を記入し、本人か代理人、または郵送のいずれかの方法によって住所管轄のハローワークに提出してください。
代理人の場合は委任状が必要です。
※社会人として数年働いているのであれば、概ね問題ないかと思います。
ただし前回の利用から、3年経過している必要があります。詳細はハローワークにてご確認ください。
申請手続きはどうすればいいの?
一般教育訓練と専門実践教育訓練と分けて説明します。
一般教育訓練の場合
流れとしては、受講修了後に必要書類を持参してハローワークに申請します。
個人が先にお金を支払い、訓練修了後にハローワークに請求します。
申請期限:受講終了日の翌日から1ヶ月以内
申請場所:本人住所管轄のハローワーク(やむを得ない場合を除き郵送不可)
必要書類:下記内容
必要な書類 | 備考 |
---|---|
教育訓練給付金支給申請書 | 教育訓練の受講修了後、教育訓練施設が用紙を配布します |
教育訓練修了証明書 | 教育訓練の受講終了後、教育訓練施設から発行されます |
領収書 | 教育訓練施設より本人が支払った教育訓練経費について発行します。 クレジットカード等による支払いの場合は、クレジット契約証明書(又は必要事項が付記されたクレジット伝票)が発行されます。 |
本人・住所確認書類 | 申請者の本人確認と住所確認を行なうための、官公署が発行する証明書です。 具体的には、運転免許証、住民票の写し、雇用保険受給資格者証、国民健康保険者証、印鑑証明書のいずれかです。(いずれもコピー不可) |
雇用保険被保険者証 | 雇用保険受給資格者証でも可。コピーでも可能 |
教育訓練給付対象期間延長通知書 | 適用対象期間の延長をしたいた場合のみ必要 |
返還金明細書 | 「領収書」「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人へ還付された(される)場合に教育訓練施設から発行されます。 |
専門実践教育訓練の場合
受講開始日まで
受講開始1ヶ月前までに行う必要があるもの。
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワークで配布)
- ジョブ・カード
ジョブ・カードとは
受講開始日前までに、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリア・コンサルティング」を受ける必要があります。事前に学歴、職歴、今後の目標などを記載した「ジョブ・カード」を作成しておき、そのジョブカードを元に面談を行います。そこにキャリアコンサルタントがコメントを記入して完成となります。
ジョブカードの書式はインターネットにてダウンロードできますし、紙媒体はハローワークにて用意されています。
・ジョブ・カード総合サイト(厚生労働省)
支給申請に必要な書類
必要な書類として原則5種類です。6ヶ月ごとに申請を行います。
- 教育訓練給付金支給申請書(6ヶ月ごとに教育訓練施設より発行)
- 受講証明書または修了証明書(6ヶ月ごとに教育訓練施設より発行)
- 教育訓練給付金受給資格者証(受給資格確認手続きを行なうハローワークにて事前に渡されるもの)
- 領収書(本人が納付したものを元に、教育訓練施設より発行)
- その他、還付金を受けた、またはクレジット払いなどの場合には、その事実を証明する書類
45歳未満の方については、雇用保険の基本手当が終了した後は手当が支給されます。
その手当とは基本手当の50%です(平成30年1月1日以降は80%)。訓練修了まで延長されます。
・受講開始時に45歳未満であること
・離職して1年以内に専門実践教育訓練を開始する方で受給資格があること
・専門実践教育訓練の講座を修了する見込みがあること
・受講する専門実践教育訓練が通信制または夜間制でないこと
上記が主な内容ですが、それ以外にも細かな規定がありますので、最寄りのハローワークに相談してください。
こちらの記事にもわかりやすく書かれていますのであわせてお読みください。
◆専門実践教育訓練について(600万円も得する制度)
◆専門実践教育訓練について 知らないと損する職業訓練のすべて