パート・アルバイトでも一定を超える日数や時間を働いていれば社会保険に加入することができます。
パートでもアルバイトでも社会保険に入ることは可能だということです。
後述しますが、社会保険は様々なメリットがあります。
では、一定を超える日数や時間はどれくらいなのでしょうか。
社会保険加入は通常勤務の4分の3を基準に更に低下
2016年までの加入要件は「1週間の労働時間、および1ヶ月の労働日数が、常時雇用者の4分の3以上」でした。
仮に正社員が、1日8時間で月20日勤務しているとすれば、その4分の3ですから、週30時間で月15日働いていれば社会保険に入ることができるということです。
更に2016年10月1日から施行された制度から、4分の3に満たない場合でも次の要件に全て当てはまる場合は適用対象となりました。
- 勤めている会社の従業員が501人以上の企業。なお、500人以下の企業でも、労使の合意にもとづいて適用可能。(2017年4月施行)
- 週の労働時間が20時間以上であること
- 給与の月額が8.8万円(年収106万円)以上であること(残業代や一時金などは含まれない)
- 勤務期間が1年以上見込まれること
- 学生でないこと
社会保険に入るということは、もちろん失業保険(雇用保険)や労働保険への同時に加入するということです。
失業保険は週20時間、1ヶ月以上勤務(31日以上)が見込まれる場合は加入の対象になります。
労災保険については、労働者として1時間でも働く場合は加入の対象となり、万が一のケガなどの場合は労災保険を受けることができます。
社会保険加入によるメリット
社会保険に加入すると、次のようなメリットがあります。
- 将来受け取れる年金が増える
- 年金や保険の金銭的負担が減る
- 障害となった場合、障害基礎年金に加えて障害厚生年金が支給される
- 万一亡くなった場合は、遺族に遺族厚生年金が支給される
- ケガや出産により仕事を休む場合には、給与の3分の2程度の給付を受けることができる
1については、国民年金に加えて厚生年金にも加入するためです。
将来受け取れる年金にプラスして、厚生年金加入分も受け取ることができます。
2については、会社が半分負担してくれるためです。
国民年金、厚生年金、健康保険を全て自分一人で支払う場合は、相当な金額になります。
ですが、社会保険の仕組みとして会社が半分負担してくれるため、実際に支払う額の半分で済むことになります。
3については、障害基礎年金にプラスして障害厚生年金が支給されます。通常受け取れる額より多くなります。
4についても同様に、遺族基礎年金にプラスして遺族厚生年金が支給されます。
5については、傷病手当金や出産手当金が支給されます。
上記のように社会保険に加入することで、さまざまな恩恵を受けることができます。
<参考>
・障害年金について(わかりやすく図で説明)
・遺族年金(残された妻と子のための年金)
・年金の仕組み(わかりやすく図で説明)
社会保険加入によるデメリット
加入することで様々なメリットがある社会保険ですが、夫の扶養に入っている妻にとってはデメリットになる場合があります。
夫の扶養に入っている場合は、国民年金や健康保険の負担はありません。支払う必要がないのです。
さらに妻を扶養している夫にとってもメリットがあり、「配偶者控除」もしくは「配偶者特別控除」の対象になるため、税金が安くなります。
社会保険の加入要件を満たせば、夫の扶養から外れることになります。
その場合、厚生年金保険料、健康保険料を支払わなければなりません。
また国民年金は払いたくないという人もいるでしょう。
将来受け取れる保障もありませんし、支給年齢が70歳になることも十分考えられます(今は65歳から)
そういう考えの人から見ればデメリットに映るかもしれません。
ですが、年金は何も老後の生活費だけではありません。
支払っていることで病気やケガで障害を負った時には障害年金を受け取ることができますし、遺族に対して遺族年金もあります。
雇用保険や社会保険は本人の希望とは関係なく、加入しなくてはなりません。
働く時間(労働契約)により加入対象となります。
さいごに
パートやアルバイトであっても、失業保険(雇用保険)はもちろんのこと、社会保険に入ることができます。
社会保険に加入することで様々なメリットを受けることができます。給与から引かれる額(天引き)は多くなりますが、別途個人で負担する国民年金や国民健康保険を支払うよりは割安になることが多いでしょう。
唯一デメリットになり得るのが夫の扶養になっている場合です。
夫の扶養になっている場合は上記で説明したように負担が増える場合があります。ですが将来厚生年金分が上乗せされるメリットもありますし、働く時間を気にすることもありません。
以前の制度に比較して社会保険の加入要件のハードルはより低くなっています。
今は年金や健康保険の財源は不足しているため、多くの人に保険料を負担してほしいとのことからです。