2018年10月より、派遣社員は同じ派遣先で3年以上(3年ルール)働くことができなくなりました。。
それと関連しますが、派遣も含め非正規社員で働く場合、5年ルールというのも施行されています。
- 5年ルールは2013年4月より施行(労働契約法)
- 3年ルールは2015年9月より施行(労働者派遣法)
この3年ルール、5年ルールともに、2018年より初めて摘要される年になります。
5年ルールについては以下で詳しく説明しています。
・ 5年働けば正社員になれる?(5年ルール「無期転換」について)
ここでは労働者派遣法の3年ルールについて詳しく説明していきます。
派遣社員の3年ルールとは
この3年ルールとは、専門業務に関わらず「派遣期間を原則3年を上限」にする。ということです。同じ企業に継続して3年以上働くことが原則できなくなりました。
3年以上継続して働く場合は、派遣元から以下①~④いずれかの措置を行わなければなりません。
- 派遣先への直接雇用の依頼(正社員等)
- 新たな派遣先の提供
- 派遣元での無期雇用(正社員等)
- その他安定した雇用の継続を図るための措置
<参考>労働者派遣法改正法(厚生労働省)
これらは派遣元の行わなければならない「義務」(雇用安定措置)になります。
ちなみに派遣期間が1年から3年未満については「努力義務」になります。努力義務の場合は、努力したけれどもダメでしたということもありえます。「義務」は「努力義務」よりも重いということです。
なぜこのような制度が生まれたかというと、やはり不安定な派遣社員ではなく「安定した働き方をしてほしい」ということからです。安定的な働き方をしてもらうために期間が定められている有期契約が続くのは問題ありだという政府の認識です。
法律が改正施行されたのが2015年(平成27年)9月30日なので、最初の3年ルールに摘要されるのは2018年の10月からの契約です。
派遣元が行わなければならない3年ルールの対策
上でも説明してきましたが、同じところで3年間派遣社員として働き続けた場合、派遣元では以下の対策を行う必要があります。
- 派遣先への直接雇用の依頼(正社員等)
- 新たな派遣先の提供
- 派遣元での無期雇用(正社員等)
- その他安定した雇用の継続を図るための措置
派遣先への直接雇用の依頼
1の内容は、派遣元より派遣先に対して直接雇用の依頼をすることです。正社員として働けるというチャンスでもあります。もちろん派遣先や派遣社員両方の同意がなければなりません。
正社員が無理であれば、派遣に変わり契約社員やアルバイトなどの1年契約等も考えられます。
直接雇用された方が給与も待遇(ボーナス等)も上がる可能性がありますし、このようなルール(制度)に縛られることもありません。(次は5年ルールに適用する可能性あり)
ですが実際、直接雇用は難しいことが想定されます。
派遣先企業は、正社員を雇いたくないために派遣社員に来てもらっているからです。
新たな派遣先の紹介
これは派遣会社の本来の仕事です。新たに別の派遣先を探して紹介するということです。
3年継続して勤めている方であれば、その実績や信頼もあるため、次の派遣先も容易に探すことができるでしょう。
後は年齢の問題。やはり年齢が高くなればなるほど受け入れる派遣先も少なくなります。
派遣元での無期雇用
派遣元で無期雇用になることです。当然派遣元の正社員になることも含まれます。
無期雇用になれば、派遣先への紹介がなくても給与を受け取ることができるため生活が安定します。また更新の度に心配する必要もなくなるのです。
派遣先が決まるまでの空白期間も給与が受け取れるのですから、派遣社員にとっては良いことです。
逆に派遣元にとっては仕事を紹介し続けなければならないという大きなリスクになります。
その他安定した雇用継続の確保
上記以外のものです。教育訓練の実施や、紹介予定派遣等も含まれます。
何かしらのスキルアップや働ける環境を作らなければなりません。
派遣先の企業はどう変わるか、どう変わったのか
派遣先の会社は、この3年ルールによってどう変わるのでしょうか。
今までは5年も10年も同じ人を派遣社員として雇うことが出来ていましたが、2018年10月以降からは難しくなります。
更に、組織単位(〇〇部や○○課等)ごとに派遣を雇えるのは3年までと制限がかけられます。
ただし一定の手続き(社内意見聴取)を取れば別な派遣社員を雇うことができます。
そういう意味では人さえ変えれば、派遣社員を永遠に使い続けることができるということです。
・Aさんの3年以上の継続は不可。
・Aさん3年、Bさん3年、Cさん3年であれば、派遣社員を継続して雇うことが可能。
3年ルールの抜け道
これからは同じ派遣先で3年以上は仕事が出来なくなります。
ですが、ある抜け道があります。
それは「部署異動」です。組織を変えることです。
同じ派遣先であっても部署が変われば別業務として扱われます。
例えば3年働いた「営業1課」から「営業2課」で働くとき。これは部署異動となり、継続して働くことが可能になります。
派遣社員として同じところで長く働くことが良いのかは別の話です。
このように部署や仕事内容を変えてしまえば、この3年ルールは問題なく進んでいきます。
さいごに
この労働派遣法の3年ルールは、「3年以上不安定な派遣社員として働かせない」というメッセージが込められています。この3年のうちに安定した正社員等を目指してくださいということです。
もちろん自分の意志で派遣社員として働いている人も大勢います。
正社員として働くには多少なりともプライベートを犠牲にしなければなりません。
派遣社員の良いところは、いろいろな職場を経験できることや、それに伴うスキルを得ることができること。パートやアルバイトより時給が高い場合も多く、残業も少なめで仕事のプレッシャーが少ないところも良いところでしょう。
正社員でよくある「ブラック企業に勤めて鬱になって退職」というケースも少ないでしょう。派遣先が嫌なら次の更新を断ればよいのですから。
ですが、正社員を目指している場合は気をつけなければなりません。
どこかの派遣会社がこう発言していました。「(私達の仕事は)人材という部品を各企業に滞りなく供給することです」と。
「派遣社員は企業にとっては一つの部品」という事実です。入替え可能な部品です。
その商品が作られなければ、もう部品は必要なくなります。
安易に日々を過ごしていたら取り返しのつかないことになってしまいます。今は良くても10年後の自分につけをまわすことに繋がります。
派遣社員として働く場合は、将来に向けての人生設計がとても大切になるのです。