今までは65歳を過ぎて新しい職場に就職した場合は、雇用保険に加入することができませんでした。
65歳を過ぎて同じ職場に継続している場合は引き続き雇用保険に加入することはできたのです。
それが「雇用保険法」の改正により2017年1月1日より65歳を過ぎても雇用保険に加入することができるようになりました。
だれでも無条件で加入できるの
誰でも加入できるわけではありません。雇用保険加入要件に当てはまる人が対象です。
加入要件として大きく下の2点があげられます。
1.1週間の勤務時間が20時間以上であること
2.31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
正規社員でなくても、パートタイムやアルバイトでも要件さえ満たせば加入できます。
例えば、特に期限を決めずに週5日で1日4時間働く場合も対象になります。
どんなメリットがあるの
一定の要件を満たして会社を退職した場合には一時金が支給されます。
失業保険の基本手当ではなく、高年齢求職者給付金の対象です。
高年齢求職者給付金の詳しい内容については以下をご覧ください。
・高年齢求職者給付金(65歳以上の雇用保険)
(65歳未満で失業保険の手続きをした場合は一時金ではありません。)
支給要件
・離職していること
・積極的に就職する意思があり、いつでも就職できるが仕事がみつからない状態にあること
・離職前1年間に雇用保険に加入していた期間が通算して6ヶ月以上あること※
※賃金の支払い基礎となる日数が11日以上ある月を1ヶ月として計算します。
支給金額
雇用保険の加入期間によって支給額が変わります。
加入期間が1年以上:基本手当額の50日分
加入期間が1年未満:基本手当額の30日分
※基本手当額とは、離職前の6ヶ月の賃金総額を180で割った額のおよそ50%から80%です。
※自己都合で退職した場合は2ヶ月間の給付制限がつくためそれまで待つ必要があります。
(例1)
例えば以下の状況だとします。
・雇用保険加入期間:2年
・受け取っていた給料:20万円(過去6ヶ月平均)
・会社都合退職
計算方法として、
雇用保険加入期間が1年以上あるので基本手当額の50日分が支給。
月20万円の給料だとすると、基本手当日額は4,739円になります。
支給額=4,739×50日分=236,950円
一時金として、236,950円を受け取ることができます。
※基本手当日額の計算は以下を利用してください。
・失業給付の金額を計算(自動計算ツール)
雇用保険料をはどれくらいなのか
以下3つの事業に分かれています。
・一般の事業の場合、労働者負担は1000分の6
・農林水産・清酒製造の事業の場合、労働負担は1000分の7
・建設の事業の場合、労働者負担は1000分の6
※2023年(令和5年度)の雇用保険料の場合
仮に一般の事業で月10万円の給与の場合、1000分の6は600円です。雇用保険料として毎月給与から600円引かれることになります。
その他のメリット
65歳以上でも雇用保険の対象になりましたので、要件を満たせば以下の給付金の対象にもなります。
・「育児休業給付金」
・「介護休業給付金」
・「教育訓練給付金」
育児休業給付金とは、育児休業をサポートしてくれる心強い制度です。
詳しくは 育児休業給付 を参照してください。
介護休業給付金とは、家族の介護で会社を長く休んだ場合(1ヶ月間に11日以上)に給付が受けられる制度です。
詳しくは 介護休業給付 を参照してください。
また、教育訓練給付金も同様に対象になります。
こちらは、学ぶための様々な講座(パソコンや資格など)の受講料を最大で20%(上限年間10万円)を補助する制度です。
詳しくは 教育訓練給付制度 を参照してください。